おいしい読書

ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』の「レモンゼリー」[おいしい読書011]

ミナミ

子供の頃読んだ外国の本。見たことも、聞いたこともないような食べ物がたくさん登場して、すごく魅了された。

あしながおじさん』に登場したのは華やかなお菓子のお話。たとえば「糖蜜キャンディー」、たとえば「ファッジ」などなど、今では当たり前になったものもあり、今でもどんなお菓子か知らないものもあり

そんな「食べ物」描写を含む、ジュディの寮生活の記録に魅了されて、ホントに何度も何度も 『あしながおじさん』 を読んだものだ

ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』

主人公は、孤児院育ちのジュディ。彼女が「あしながおじさん」と名付けた匿名の紳士からの援助を得て、大学進学が叶う。援助の条件は月1回、学校での様子を手紙で報告すること。孤児院を離れた彼女の、のびのびとした学生生活の様子が、文章とコミカルなイラストで綴られる。

ジュディの学生生活や友人関係などを、「手紙」として垣間見るという形式に子供の頃は夢中になり、何度も何度も読み返した。

そして最大の謎は「あしながおじさん」は誰なのか? ってこと。ジュディも手紙でヒントを得ようとするんだけど、おじさんのガードはなかなか硬い。

そしてその正体は? っていうところが、子供心に衝撃的で。もしかしてこれが自分の人生初の叙述トリック物語だった可能性もある? いや、無いか?

世界名作劇場で放送したアニメ版の『私のあしながおじさん』も、印象違うけど楽しんだなぁ

『あしながおじさん』のレモンゼリー

物語に登場する食べ物のなかで、一番心に残っているのは「レモンゼリー」。

登場した時のお話から考えると、結構ドロッと系の柔らかいゼリーだった様子。しっかり形があるわけじゃなく、ふるふるした感じのゼリーだったのでは?

レモンゼリープールで泳げるか? 否か?

当時、女学生の間で最先端デザートだったという「レモンゼリー」が、ジュディたちの食卓にも登った。その際に話題になったのが「レモンゼリープール」。

仮に体育館のプールにレモン・ゼリーが一杯になっていたら、その中で泳ぐ人は表面に浮いているでしょうか、それとも沈んでしまうのでしょうか?

そんな問題。

ジュディの友人サリーは「レモンゼリープールで泳げる」説。

対するジュディは「いかなる水泳の達人でも沈んでしまうと確信」しているという。

ゼリーのプールで「泳ぐ」って?

これを読んだ当時、自分の中では「?」が大量に。だって、この頃食べていた「ゼリー」って、固いものばかりだったから。

こういう感じの「型に入れてつくって、しっかり形があるやつっていうか、「こんにゃくゼリー」的な固くてぷるんとしていて、スプーンですくっても、しっかり形が残るタイプっていうか…

だからプールいっぱいにゼリーが入っていたとして、その上に乗ることはできても、泳ぐことも、溺れることもできないんじゃ? と。溺れるなんてありえない! 当時の自分はそう思ったんだけど

ふるふるゼリーならありか?

その後に出会った、ふるふるタイプの、柔らかくてゆるーいゼリー。

これなら、「ゼリープールで泳ぐ」という試みは一応いけそう

でも「浮力」が発生ないから、やっぱりジュディの説に近い「泳げない」説になっちゃう気がする。いやでも基本は「水」ではなく、ゆるーい「固形」なんだから、沈んでしまうってこともないんだろうか?

どっちにしても糖分がすごくてベタベタしそうなので、もし仮にゼリープールがあったとしても、飛び込んでみたいとは思わないかも。なんて、ごくごく現実的なつまらない感想

こういう「ゼリープールで泳げるか?」なんて話に、半時間も侃々諤々できるなんて、ものすごく楽しい学生生活だし、素敵な仲間たちなんだなって、こっちまで何故か嬉しくなっちゃう

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ミナミ
京都出身、滋賀在住。仕事は自営業|本と漫画、おいしいものへの愛を詰め込んでお届け|小説も漫画好き。ミステリ、時代もの、SF、ライト文芸多め? 実用書・ビジネス書も時々|大の電子書籍派|食べるの好きなので「おいしい」ものが出てくる作品が好き
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